東京の和菓子屋さんを訪ねるシリーズ「東京あんこ散歩」。毎回、エリアを決めて和菓子屋さんを巡っています。
東京には様々な和菓子屋さんがあります。和菓子屋さんの数は日本一。人口も多いから、お店の数も一番なのですね。京都に負けず、個性的なお店が勢ぞろい。
江戸時代には宿場町だった馬喰町。上野・浅草にも近く、宿に滞在した旅人もきっと見物がてらに上野・浅草を訪れたことでしょう。そこで今回は、旅人の足跡をたどりつつ、馬喰町から上野・浅草を巡りました。
界隈には、江戸・明治創業の老舗の和菓子屋さんも残り、道中には江戸の史跡も。歴史も和菓子も楽しめる一石二鳥な旅です。
散歩時間:3時間
移動手段:徒歩、電車
江戸の人々も歩いた?馬喰町から浅草までの散策道
スタートは馬喰町(ばくろちょう)
JRの馬喰町または都営新宿線の馬喰横山駅からスタートです。かつては、多くの馬市が立ったことから、その名が付きました。
江戸時代の中頃には、旅籠が軒を連ね、江戸一番の宿場町だったとか。次第に小間物屋などが増え、日本一の問屋街として現在に至っています。
横山町の新道通りには各種の問屋さんがあり、通り向こうの馬喰町にはエトワール海渡のビルがドーンと並びます。
馬喰町に、江戸創業の和菓子屋さんがあります。亀屋大和さん。
お店の場所は、馬喰町の駅を出て、エトワール海渡村を通り過ぎたところにあります。
ホームページによると、創業は江戸中期頃。かれこれ歴史は300年。東京は明治維新で廃業したお店も多く、江戸から続く貴重なお店です。
亀屋大和さんでは、みたらしと草団子を購入。ショーケースの中で光り輝くみたらし団子。迷わず購入しましたよ。上新粉ベースの団子は、お米の味がして、感動の美味しさ。またぜひ伺おうと思います。
団子以外にも、どらやきや季節の和菓子が何種類かありました。中央区のど真ん中で、ひっそりとたたずむ亀屋大和さんはずーっとこれから先も、東京で歴史を刻んでほしいですね。
続いて、浅草橋近くの柳橋へ
馬喰町から徒歩10分ほどで、次の目的地「柳橋」に到着します。
途中には「郡代屋敷跡」や江戸の見張り所の一つ「浅草見附跡」、珍しいビルの中にある神社「初音森神社」などがあります。
交番の隣にかつての郡代屋敷が
神田川に係留する屋形船も見られます
柳橋とは、神田川の下流で隅田川に流れこむ河口にかかる橋の名前。かつて柳橋エリアは一大花街。江戸の後期から昭和まで数多くの料亭が軒を連ねていました。
現在、料亭はビルに建て替わり、当時の風情はほとんど残っていません。柳橋と橋のたもとの柳の木がかろうじて当時をしのばせます。
柳橋のそばにある和菓子屋さんが「梅花亭」さんです。
梅花亭は新川の本店をはじめ、都内にいくつかお店があります。
柳橋の梅花亭さんの創業は、明治の頃。きっと花街の方々にも愛されたことでしょうね。
こちらで購入した和菓子は、定番の梅最中(白あん)に、三笠山、子福餅、宝梅の4種類。どれも美味しかったのですが、一番のお気に入りは、最中。たっぷりの白あんは甘さ控えめで、あ~もう一つ食べたいと思う美味しさでした。
梅花亭さんを出たら、ちょっと寄り道。
かつての芸者さんもお参りしていただろう、石塚稲荷神社へ。
小さな神社ですが、柳橋料亭組合や柳橋芸妓組合の石碑や、各料亭や芸妓さんの名前入りの石碑も並びます。かつて柳橋が花街であったことが分かる貴重な歴史遺産です。
上野へ向かう前に、秋葉原で途中下車
柳橋の最寄り駅、JRの浅草橋駅から上野へ向かう前に秋葉原で途中下車。
駅前にある、創業1769年の和菓子屋「松屋」さんを訪れました。
お店はややレトロな外観。店内には昔の木型なども展示。こちらでは、コーヒーどらやきを購入。美味しかったです。
秋葉原に、江戸から続く和菓子屋さんがあったとは….探すとあるものですね。
いよいよ、上野へ
次の目的地、上野へ向かいます。
上野と言えば、動物園、博物館、美術館が並ぶ一大文化エリア。
かつては、徳川家の菩提寺「寛永寺」の門前町でした。
上野でぜひ立ち寄りたいのが、上野公園内にある「東照宮」。日光の東照宮をしのばせる豪華な社殿があります。それもそのはず。3代 徳川家光が、日光まで行かずとも人々が近くで家康公を拝めるよう、建てたそうですよ。
建物の各所には見事な装飾や彫刻が施され、境内には数多くの燈籠が置かれています。どれを見ても圧巻される見事なものばかり。
今回初めて東照宮を訪れましたが、こんなに素晴らしいところがあるなら、もっと早くに行っておけばよかったなと思いました。
東照宮から不忍池を通り、上野広小路に出ると「上野風月堂」さんがあります。
風月堂さんの歴史は古く、そもそもの始まりは1747年。当時は大坂屋として菓子商を営まれていたそうです。(上野風月堂さんのホームページに詳しく記載があります)
風月堂さんでぜひいただきたい和菓子が、東京カステラ。かつてカステラは銅釜で焼かれていましたが、今もその銅釜製法で焼かれているのが、東京カステラです。
長崎カステラとは異なる、ふんわり食感で生地のキメ細かいタイプ。とても美味しくいただきました。
最終目的地、浅草へ
いよいよ、最後の目的地、浅草へ向かいます。
浅草と言えば、浅草寺の門前町。仲見世にはいくつものお店が並び、都内でも随一の観光スポット。
以前は外国人観光客で混雑していましたが、訪れた2020年8月は人出も少な目。
ゆっくりと仲見世と浅草寺を散策できました。
浅草を訪れたらぜひ行きたいのが、浅草神社。浅草寺のお隣にあります。浅草神社と言えば、5月の三社祭が有名ですが、こちらの例大祭になります。
浅草は、江戸時代にいくつもの歌舞伎上演の小屋が立ったとか。そのため浅草神社にも歌舞伎ゆかりの石碑があります。初代中村吉右衛門の句碑や、河竹黙阿弥の顕彰碑など。
中村吉右門と中村時蔵の文字が
浅草で訪れたい和菓子屋さんは、仲見世にある「金龍山」さん。浅草で一番古いお店だそうで、創業は1675年。ちょうど4代将軍家綱の時代ですね。
今は揚げまんじゅうや切り山椒で有名ですが、かつては浅草餅で人気に。
揚げまんじゅうは1個から買えるので、今回は3個購入。家で美味しくいただきました。なお、切山椒は夏の間はお休みになります。
最後に、時間があったら立ち寄りたいのが、浅草から徒歩5分ほどの隅田川テラス。川沿いに遊歩道が整備されています。
ベンチに腰掛け、買った和菓子を食べながら、川を行き交う船を見るのもいいものですよ。
ゆっくりしていきましょう。
東京の和菓子屋さんを訪ねる、東京あんこ散歩。次回もお楽しみに~